ニュースピーク
AIばっか使ってたら喋り方・考え方までAIっぽくなってそれに思考が規定されてしまうから、AIはニュースピーク的な側面がある、というSFを3年前に書こうとしていて、書ききる前にそうなった。SFは生もの。
「時代の流れは速いね~」なんて言ってる場合じゃないくらい、全てのものが目まぐるしく変わっていく。当然すべての情報を追えるわけがないから、何かを常に取りこぼす。意図的にそれをやって、こちら側に取りこぼさせようとしている取り組みもなんとなく感じている。これって陰謀論? という話。
筋としては、VRSNS上で出会っていい感じの仲になった相手が実は死んでいて、生前のキャッシュ情報をもとに本人として振舞うよう設計されたみんなのアイドルだった、というところから始まる。その世界では、AIを介して人と話すことが一般化されており、自分の感情を翻訳して代わりに言葉を紡いでくれる。代理AI同士の会話がその時代におけるコミュニケーションの主流になりつつあった。キャッシュっていうのはその代理AIのキャッシュで、そんなコミュニケーションなら「その人間がそう振る舞う」というデータの集積さえあれば本人なんて必要なくない? と、ここまでが大前提。その後、死人のアイドルのファンの互助会やバーチャル大乱交を経て、禅問答が始まる。死人アイドル曰く最終目標は互助会メンバーの死人アイドル化・均一化で「自らが進んで考えることを放棄している、それを望んでいる彼ら」に「ビッグブラザーを自分から求めている彼らを導く、できるだけ幸せなニュースピーク」を実現することだった~みたいな、うろ覚えだけどそんな筋を書いて、まとまらないし要素が多すぎるんで断念したことを覚えている。
学生時代に大森望氏に「お前の短編は要素を詰め込みすぎやねん(意訳)」と講評で書いていただいたのを覚えている。相変わらずその癖は抜けず、過剰搭載したアイデアを均して長距離を走りきる体力がないことが問題となっている。
逃げて、逃げて、ここにいる。やりたいことはあるけど、その過程に立ちふさがっている社会とかいうよくわからない形のものがとにかく嫌い。社会復帰を目指してはいるけど、本心ではもう、適当にのらりくらりとリソースを即物的に食いつぶし続けてやばくなったら蒸発すればいいと思っている。どうせ世界の方が先に取り返しのつかないことになるので、そういう意味でも時限爆弾的だ、これは。復帰すべき社会に光明が見えない。
来てくれ、スーパーダーリン。莫大な金と、自分を養ってくれる対等な誰かが現れさえすれば、私はもう悩まなくて済むのだ。